OsakaMICTの日記

最先端の低侵襲心臓血管治療を紹介します。 どなたもご覧になってください。

高齢者胸腹部大動脈瘤に対し開窓型ステントグラフト治療が有効であった症例

胸腹部大動脈瘤の手術は侵襲度が高いことが大きな問題でありますが、今後承認が期待される分枝型・開窓型ステントグラフトを用いることで、まさに「きらずに治す」ことが可能となります。
今回は、臨床研究にて開窓型ステントグラフトを使用し、高齢患者にその有用性が示されたのでご報告致します。

 

患者さんは88歳女性。
最大径60mmの胸腹部大動脈瘤(クロフォード分類5型)を指摘され、当院に紹介となりました。
ご高齢でありfrailtyも高いことから、通常の開胸人工血管置換術はもちろん、腹部分枝のデブランチ手術もリスクが高いと考えられました。

 

今回の臨床研究では、患者さんにあわせた企業製カスタムメイドステントグラフトを用いて手術を行いました。

 

術中に撮像したDynaCTのガイド下に、開窓型ステントグラフトの「窓」をSMA開口部に合わせ、まずはステントグラフト本体を留置しました。
続いて開窓部からSMAに小口径ステントグラフトを留置することで動脈瘤をexclusionし治療を完遂いたしました。
手術時間は118分でした。

 

術後経過は良好で、合併症を認めず約1週間で退院となりました。
術後のCT検査ではエンドリーク(脇漏れ)を認めておらず、分枝の開存も良好でした。

 

治療の難しい胸腹部大動脈瘤に対し、開窓型ステントグラフトを使用することで低侵襲に治療が可能であった1例となりました。

 

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