日本外科学会の舞台裏スナップ、その4
今年の市民講座(一般の皆さまが参加できる会)は、
小学生、中学生、高校生、医学生を対象にしており「
夢中でカテーテル操作や縫合の練習をする子供たちの視線はとても
中学生が冠動脈バイパス術を行い、
中学生に皮膚縫合をしてもらっているところです。実際の器具、
日本外科学会の舞台裏スナップ、その3
参加者の親睦を図るための「前夜祭」「全員懇親会」も行われました・・・外科医師の数が急激に減少している昨今で相互連携を深めていくきっかけを提供できたでしょうか?研究発表やディスカッションの場とは違う華やかな雰囲気で、準備の苦労も吹き飛びました。
拡大プログラム委員会という学会の前夜祭にあたる会で、
大阪出身でワインのソムリエでもある辰巳琢郎さんには前夜祭のワ
日本外科学会の舞台裏スナップ、その1
今回、
「日本の大血管治療の明日」
鳥飼慶Dr.の発表が日経メディカルに掲載されました
当科の鳥飼慶Dr.が第80回日本循環器学会学術集会(
我が国の症例は、欧米よりもリスクが高い大動脈弁狭窄症(AS)
※同じ内容が、当サイトの過去投稿(1月8日)
http://medical.nikkeibp.co.jp/
本邦初のNellixによるEndovascular aortic sealing (EVAS)治療症例のご供覧
本邦初のNellixによるEndovascular aortic sealing (EVAS)治療症例のご供覧
~低侵襲腹部大動脈瘤治療の新しい治療法がいよいよ日本でも~
【背景】
2006年に本邦でも腹部大動脈瘤に対してステントグラフト治療(Endovascular aortic repair: EVAR)が導入され、その治療方法は、その低侵襲性により急激にその数は増大し、2013年から年間の腹部大動脈瘤治療の半数以上がEVARで施行されています。
ところがこの治療方法の術後にはendoleak(ステントグラフトと大動脈壁内壁の間に血液の漏れが起こること)という問題がつきまとうことは周知の事実であり、特にtype II endoleak(元々大動脈瘤から分岐していた細い血管が、ステントグラフト挿入後に逆流して瘤内に血流を起こし、完治を妨げる)はその治療方法において難渋しているのが現状です。我々のEVAR症例での解析では、術後早期には症例数の31.5%にtype II endoleakを認め、遠隔期でも27.6%を認めています。さらに驚くことに、そのtype II endoleakを認めた症例のうち42%(全症例数の11.6%)の症例で瘤の拡大を認めています。大動脈瘤治療の最終目的が瘤破裂防止であるならば、その原因となる瘤拡大は防がなければなりません。今回のデータを基に考えると、現状でのEVAR治療は低侵襲性が前面に出ているもののradical surgery(根治手術)ではなくpalliative surgery(姑息手術)と言わざるを得ません。
【EVASとは】
このtype II endoleakを如何に減らし(もしくは完全になくし)、低侵襲治療で腹部大動脈瘤を根治するか?この大きな命題に回答してくれたのが、Endologix社のNellixです。他社がlow profile化(デバイスを細く)、flexibility(よく曲がる)の改善を進めてきた中、Endologixは瘤内部をpolymerで完全にsealing(埋めてしまう)する方法でtype II endoleakを無くすことを考案しました。
【初症例のビデオ】
今回我々はtype II endoleakの可能性が高い2症例に対してEVASを行いました。手術時間は1時間程度で、非常によくできたシステムとの実感を持ちました。施行手順は動画をご覧ください。
まず、腎動脈下からiliac bifurcationまでの長さを測り(大動脈径はこの手術には関係ありません)、10mmのballoon expandable typeのステントグラフトを両大腿動脈より挿入して、ステントグラフトをバルーンで拡張した後、そのステントグラフトの周りにあるバッグ(Endobagという)に生理食塩水を圧が180mmHgまで上がるまで注入してその量を決め、造影をして瘤内に漏れがない(endoleakがない)ことを確認します。その上で生理食塩水を完全に吸引し、続いてpolymerを速やかにさっき計測した量を目安に180mmHgまで注入します。これで終了です。
【結論】
すでに欧州では3年前から導入されているデバイスであり、当教室でも数年前から導入を考えていたのですが、やっと最近Endologix社と本格的な相談ができるようになってこのたび実現しました。関係者のお力も借りて、なんとか日本への早期導入を模索したいと思います。もちろん最終的な判断をするためには遠隔成績の十分な観察が必要ですが、低侵襲腹部大動脈治療において根治手術の希望の光が見えてきたのは、患者さんにとって大変喜ばしいことです。本ビデオもぜひシェアして頂ければ幸いです。
梅田の交差点で、51歳の方の大動脈解離の交通事故が報道されましたが・・・
つい最近、梅田の交差点で、痛ましい交通事故がありました。運転していた方は51歳と若いですが、「大動脈解離」を発症して意識を失っていたのではないか、と報道されています。気の毒な事故でしたが、こうした機会をとらえて啓発をするのも医療者の務めなので、重要なことに絞ってお伝えします。もしシェアしてくだされば幸いです。
■大動脈解離とは?
大動脈(心臓から全身に血液を送る血管)の内側の壁が裂け、裂けた内膜と外膜の間に血液が流れ込む病気です。裂けた場所や流れ込む血液の量によっては、意識を失くしたり、心臓が動かなくなって死に至るなど、重篤な症状を起こします。それでいてこの病気は予兆が少なく、発症すると非常に痛みが強いうえに、ほとんどの場合早急な対処が不可欠です。
■気をつけることは?
50歳以上から注意が必要です。なかでも高血圧の方。また、遺伝的要因もあると言われるので、もし家族にこの病気にかかった方がいる場合は、ぜひお近くの心臓血管外科、循環器内科での検査をおすすめします。通常の健康診断ではほぼ見つかりませんので、気になったら受けてみることが大切です。(もちろん関西在住の方なら、私達が対応可能です。pts★tss.med.osaka-u.ac.jpに(★を@に換えて)メール送って頂ければ、ご相談にも、できる限り対応いたします。)
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なおメディアの皆さんも、今回は丁寧な説明つきで報道してくださったところが多いように思います。NHKのニュース番組や産経新聞など、いくつか取材を受けました。
http://www.sankei.com/west/news/160302/wst1603020086-n1.html